資産の減価償却
減価償却とは
建物や設備などの資産は会計上、時を経るに従って価値が減っていきます。そこで、こういった資産を取得するのにかかった費用は、取得した際に全額を必要経費とはせずに、その資産を使用できる期間で分割して必要経費とします。このことを減価償却といいます。
使用できる期間(耐用年数)と償却率は資産ごとに税法で定められています。
定額法と定率法
償却方法には、定額法と定率法があります。原則として、個人は定額法となっていますが、定率法を選ぶ場合には税務署への届出が必要となります。しかし、平成10年4月1日以降に取得した建物については、定額法が義務とされています。
建物と設備を一緒にして計算をしても、建物と設備を分けて計算をしても大丈夫です。設備は建物よりも耐用年数が短く、定率法の選択もできるので、短期間で減価償却でき、当初の必要経費を多くすることが可能です。
定額法と定率法の計算式を挙げてみます。
□定額法
[(取得価額-残存価額)× 耐用年数に応じた定額法の償却率 ]
・ 耐用年数の期間にわたって、毎年一定額を減価償却費とする
・ 償却費や未償却残高の計算が容易
□定率法
[(取得価額-既償却額)× 耐用年数に応じた定率法の償却率 ]
・ 帳簿価額に一定率を乗じた金額を減価償却費として費用化する
・ 償却期間の前半は償却費を多くし、年が経つにつれて償却費が一定の割合で減少する
双方は償却費の累計額は同じでも、概して定率法がいいといわれています。なぜかといえば、まず資金を減価償却費として早めに回収できることがあげられます。
それに、資産は時が経つにつれて修繕費の費用が高くなっていくので、修繕費と減価償却費との合計が定額法よりも平均化できるからです。ただ、個人事業者が定率法を選択するには、規定の期限までに所轄の税務署に届け出なければいけないので注意が必要です。